神の名前と一緒に検索されている言葉を調べると、新しい発見があるかもしれない。
世の人々が神の名前を何と紐付けているのかを知るため、「神話SS」に登場する神々の名前と、検索結果に表示された関連ワードを調べてみました。

▼参考:SSに登場する神々の一覧

今日のテーマは、「タケミカヅチ×〇〇」です。

最強

  • タケミカヅチは、国譲り神話において天津神陣営の使者として葦原の中つ国へ降り立ち、見事オオクニヌシから国譲りの約定を取り付けることに成功した神として有名である。その名のとおり武神や雷神の性格を備え、武力に長けた神であるとされるが、それでいて徒に武力を振りかざさないところがタケミカヅチの魅力でもあると言えよう。
  • 国譲り神話においてオオクニヌシの前に降り立ったタケミカヅチは、「葦原の中つ国は天津神の御子が治めるべき国だ」という天津神陣営の意見を伝えたうえで、「貴様はどう思うか?」と問いかけている。つまり、葦原の中つ国を武力により“奪い取る”のではなく、あくまで交渉により“譲り受ける”ことに重きを置いていたようだ。そして、オオクニヌシが「自分は答えられない。息子のコトシロヌシが答える」と言えば、その意向を汲んでコトシロヌシを呼びつけている。
  • さらに、コトシロヌシの同意を得てもなお、直ちに国譲り成立とはせず、再度オオクニヌシに「他に意見を聞くべき子はいるか?」と確認するなど、きちんとコンセンサスを取る姿勢を見せた。最終的にはタケミナカタを力比べで打ち負かして国譲りを認めさせたが、それもタケミナカタ側の提案を受け入れたに過ぎない。
  • このように、タケミカヅチは終始大人の対応に徹している。このような振る舞いは、おそらく圧倒的な力を持つ強者の余裕からくるものではないだろうか?その底知れなさから、タケミカヅチは日本神話最強の武神とも言われているようだ。単純な力や実績で言えば泣くだけで大地を震わせ、巨大な怪物・ヤマタノオロチをも退治したスサノオの方が“最強”に近いかもしれないが、心技体の揃った強さとしてはタケミカヅチの方が“最強”の地位にふさわしいかもしれない。

  • タケミカヅチは剣とゆかりの深い神である。タケミカヅチと剣との関連性としては、まずタケミカヅチ自身が剣から生まれたという点が挙げられる。
  • タケミカヅチはアメノオハバリ(又はイツノオハバリ)の子とされているが、このアメノオハバリはイザナギが妻・イザナミを死に至らしめた自らの子・カグツチの首を刎ねた際に使用した剣の名である。そして、その際に剣の切っ先から滴ったカグツチの血が岩に染み込み、そこから生まれた神々のうちの一柱がタケミカヅチだ。「じゃあカグツチの子でも岩の子でもいいじゃん」と思ってしまう部分もあるが、昔から剣の子とされているので、そこはそういうものとして受け入れてほしい。
  • また、タケミカヅチの持つ剣も日本神話屈指の霊剣として名高い。名は“布都御魂(ふつのみたま)”と言い、“佐士布都神(さじふつのかみ)”、“甕布都神(みかふつのかみ)”といった別名も持つ。国譲り神話ではタケミカヅチが自らのお尻の頑丈さをアピールするため、あえて剣を逆さに突き立ててその上に座るという変な使い方をされるだけに留まったが、神武東征神話では熊野のタカクラジのもとに届けられ、荒ぶる神の神気に当てられたカムヤマトイワレビコ(=神武天皇)を救った。カムヤマトイワレビコの命の恩人ならぬ恩剣とも言えるこの剣は、現在奈良県天理市の石上神宮に御神体として祀られている。

相撲

  • “剣とゆかりの深い神”だと言った直後ではあるが、その一方でタケミカヅチとゆかりの深い武道は剣道ではなく日本の国技・相撲である。これは、国譲り神話に由来する。
  • 上述したとおり、タケミカヅチはコトシロヌシから国譲りの同意を得た後、再度オオクニヌシに「他に意見を聞くべき子はいるか?」と確認する。これに対しオオクニヌシは「タケミナカタという子がいる」と答えたので、タケミカヅチはタケミナカタとも交渉しようとするが、タケミナカタ側から力比べによる解決を提示され、それを受けることとなった。
  • 力自慢のタケミナカタは先手必勝でタケミカヅチの腕を掴むが、その瞬間タケミカヅチの腕が氷柱のような、刃のような鋭さに変わる。たまらずタケミナカタが飛び退くと、今度はタケミカヅチがタケミナカタの腕を掴み、若葦を引っこ抜くように軽々と投げ飛ばした。
  • 上記のタケミナカタとの力比べが、相撲の起源であると言われているようだ。話の内容的には相撲というより柔道や合気道に近いもののように思われるが、古代の相撲は現代相撲のような寄り切り・押し出しメインの競技ではなかったのだろう。実際、人間同士で行われた最古の相撲と言われる野見宿禰(のみのすくね)と当麻蹴速(たいまのけはや)との勝負は、蹴りからの踏みつけで野見宿禰に軍配が上がっている。これと比べれば、タケミカヅチとタケミナカタの力比べの方がよほど相撲らしいと言えるのではないだろうか……?

登場した神々の名は。

  • オオクニヌシ(大国主神)
  • コトシロヌシ(事代主神/八重言代主神)
  • タケミナカタ(建御名方神/御名方富命神)
  • スサノオ(須佐之男命/素戔嗚尊)
  • アメノオハバリ/イツノオハバリ(天之尾羽張神/伊都之尾羽張)
  • イザナギ(伊邪那岐/伊弉諾)
  • イザナミ(伊邪那美/伊弉冉)
  • カグツチ(火之迦具土神/軻遇突智)
  • フツノミタマ(布都御魂/佐士布都神/甕布都神)
  • タカクラジ(高倉下)
  • カムヤマトイワレビコ(神倭伊波礼毘古命)


今回は意外性のある関連ワードではなく、有名どころを取り上げてみました。
興味が湧いたら、神話SSを読みつつ、神々の名前で検索してみてはいかがでしょうか。