神の名前と一緒に検索されている言葉を調べると、新しい発見があるかもしれない。
世の人々が神の名前を何と紐付けているのかを知るため、「神話SS」に登場する神々の名前と、検索結果に表示された関連ワードを調べてみました。

▼参考:SSに登場する神々の一覧

今日のテーマは、「クシナダヒメ×〇〇」です。

吹奏楽

  • クシナダヒメはスサノオの妻として広く知られる女神であり、彼女とスサノオとの馴れ初めの話でもあるヤマタノオロチ退治の神話は極めて有名。今さら説明するまでもないかもしれないが、改めて古事記におけるヤマタノオロチ退治のあらすじをまとめると、概ね以下のとおり。
    ――高天原を追放されたスサノオが出雲の肥の河(現在の斐伊川)のほとりに降り立つと、上流から箸が流れてきた。これを見たスサノオは、「箸が流れてきたということは上流に誰かいるに違いない」と考えて川を遡る。すると、上流では老夫婦が童女を囲んで泣いていた。この老夫婦はオオヤマツミの子・アシナヅチとその妻テナヅチであり、童女はその末娘・クシナダヒメであった。
    ――スサノオが「なぜ泣いているのか?」と尋ねると、アシナヅチは「自分たちには8人(8柱?)の娘がいたが、八頭八尾の蛇の化け物・ヤマタノオロチがやって来て毎年1人(1柱?)ずつ喰らっていった。今年もその時期になったので(末娘のクシナダまで喰われてしまうことを悲しんで)泣いている」と答えた。これを聞いたスサノオ(ロリコン)は、クシナダを嫁によこすことを条件に、ヤマタノオロチ退治を申し出る。
    ――スサノオはクシナダを湯津爪櫛の姿に変えて自らの髪に挿した後、アシナヅチ・テナヅチに命じて度数の高い“八塩折の酒”を造らせ、それをヤマタノオロチに飲ませるよう仕向けた。そして、やって来たヤマタノオロチがスサノオの目論見どおり八塩折の酒を飲み、酔い潰れて眠ったところを見計らって切り殺したのであった。
  • さて、そんなこんなでヤマタノオロチを退治したスサノオの妻となったクシナダだが、それと吹奏楽と何の関係があるのだろうか?もちろん、クシナダが実は中学時代吹奏楽部でオーボエを担当していたとかそういう話ではない。調べてみたところ、吹奏楽用の楽曲で「斐伊川に流るるクシナダ姫の涙」という曲があるそうだ。上述したとおり、クシナダの登場シーンにおいて、彼女は斐伊川の上流で両親と共に悲しみに暮れて涙を流していた。その情景をイメージした楽曲ということだろう。
  • 実際に聴いたみたところ、『もののけ姫』のBGMっぽい……という表現が適切かわからないが、そんな感じの印象を受けた。そのままRPGのBGMに使ったら神ゲーができそうな気配もする。まぁとにかく、是非一度聴いてみていただきたい。

鏡の池

  • 鏡の池とは、島根県松江市の八重垣神社の境内にある池のこと。八重垣神社はヤマタノオロチ退治の際にスサノオがクシナダの身を隠すために造った八重垣の跡地に建てられた社であると言われており、鏡の池はこの地に身を隠したクシナダが飲み水として使ったり、鏡の代わりに姿を映したりした池であるとされている。
  • 上述した神話では、スサノオはクシナダを湯津爪櫛の姿に変え、自らの髪に挿して守ったことになっていたが、八重垣神社の社伝ではどうやら人の姿のまま身を隠したことになっているようだ。確かにそちらの方がリアル路線で納得感はあるが、そもそもヤマタノオロチの存在自体が既に現実離れしているので、そこから先はファンタジー路線でもリアル路線でもあまり変わらないかもしれない。まぁ、郷に入っては郷に従えと言うので、八重垣神社を参拝する際は八重垣神社の社伝を信じて、この地に身を隠すクシナダヒメに思いを馳せてみるのが良いのではないかと思う。
  • さて、八重垣と言えばスサノオが詠んだと言われる日本初の和歌が有名。
    『八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を』
    というこの和歌は、八重垣神社の社伝では八重垣神社の地に八重垣を造り、見事守り抜いたクシナダを娶った喜びからスサノオが詠んだ歌であるとされているが、古事記等においてはスサノオがクシナダとの愛の巣として建てた須賀の宮で、立ち昇る雲を見ながら詠った歌であるとされている。どちらが正しいかという話は野暮なので置いておくとして、須賀の宮の跡地とされている島根県雲南市の須我神社にも是非行ってみたい。

新潟

  • クシナダヒメと新潟……?一見すると関連性が薄そうだが、おそらくキーになっているのはヤマタノオロチだろう。
  • 古事記においてヤマタノオロチは“高志之八俣遠呂智(こしのやまたのおろち)”と表記されており、越の国に巣くう化け物であることが窺われる。つまり、福井~新潟あたりから遥々島根までクシナダの姉妹たちを喰らいに行っていたわけだ。そこまでしてクシナダ一家にこだわるというのはいささか不自然ではないか……?そう考えると、「実はクシナダは新潟出身で、ヤマタノオロチ退治の神話は新潟の民話を出雲が輸入したものなのではないか?」といった考察も成り立つように思われる。
  • ちなみに、新潟県岩船郡関川村には“蛇喰(じゃばみ)”や“八ツ口”といったヤマタノオロチを連想させる地名が残っており、妄想力が刺激される。もっとも、蛇喰の地名の由来は、村の女が夫から「中を見るな」と言われていた樽を開けて中に入っていた蛇の肉を食ったところ、大蛇に姿を変えてしまったという伝説であり、ヤマタノオロチとは関係ない模様。もし他にクシナダヒメやヤマタノオロチと新潟の関連性を示唆する地名や伝説などがあれば是非教えていただきたい。

登場した神々の名は。



クシナダヒメは知名度も人気も高い女神なので、他の単語と検索してみても面白そうです。
興味が湧いたら、神話SSを読みつつ、神々の名前で検索してみてはいかがでしょうか。