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[“天津罪神話”の続き]
――アマテラスが天岩屋(アマノイワヤ)に引き籠って困り果てた天津神たちのお話


<高天原>

モブ津神A「一体あれから何日経ったんだ……?」ボケー

モブ津神B「えぇ~と……何日だろう?」ボケー

モブ津神A「はぁ……。アマテラス様が天岩屋の戸を開けて、中に閉じ籠ってからというもの……」

モブ津神B「ずっと夜続きで、すっかり時間の感覚が無くなってしまった……」

モブ津神A「それだけならともかく、邪な神々が蠅のように騒いで災いも起きている……」

モブ津神B「このまま放っておくわけにもいかないが、一体どうすれば……」



モブ津神A&B「そうだ、天安之河原(あめのやすのかわら)行こう」


―――――――
――――
――


<天安之河原>

モブ津神A「えぇ~、皆様お忙しい中、会議にお集まりいただきありがとうございます」

モブ津神B(誰が招集したわけでもないのに、よく集まったなぁ~……)

モブ津神A「では、差し当たりタカミムスヒ様の御子神でいらっしゃるオモイカネ様!」

オモイカネ「は、はいぃっ!?」

モブ津神A「何かお知恵はありませんか?」

オモイカネ「な、なぜ私に問うのです???」

モブ津神A「いえ、お名前的にいかにも思慮深そうでしたので」

モブ津神B「“思金神”なんて、まさしく知恵の神って感じですよね。眼鏡だし」

オモイカネ「眼鏡で判断しないでください!」

モブ津神A「まぁまぁ、試しに何か仰ってみてくださいよ」

モブ津神B「どうせ全員で順番に案を出すんですし、早めに済ませた方が得じゃないですか」

オモイカネ「では……常世の長鳴鳥(鶏)を集めて鳴かせるというのはどうでしょう?」

モブ津神A「なるほど!夜を明けさせるために、夜明けを告げる長鳴鳥を鳴かせるのですね!」

モブ津神B「まさに逆転の発想!素晴らしい!!」

オモイカネ「いやぁ~、それほどでも///」


モブ津神A「ですが……それだけですか……?」

モブ津神B「何かこう……もうひと工夫欲しいところですが……」

オモイカネ「う~ん……それでしたら、鏡を作って、儀式を執り行ってはどうですか?」

モブ津神A「鏡ですかぁ。その材料はどのようにして手に入れるのです?」

オモイカネ「えぇっ!?そこまで私が考えるのですか???」

モブ津神B「まぁまぁ、参考までにお願いしますよ」

オモイカネ「そうですねぇ……ここの川上にある堅い石と、天金山(アメノカナヤマ)の鉄が良いのでは?」

モブ津神A「なるほど、素晴らしい案ですね!」

モブ津神B「ちなみに、製作者の心当たりなどは……?」

オモイカネ「えっと、鍛冶師のアマツマラさんを呼んで……イシコリドメノミコトに依頼してはどうでしょう?」

モブ津神A「それで、儀式に使うのは鏡だけですか?」

オモイカネ「えぇっ!?ま、勾玉とかもあった方が良いですか??」

モブ津神B「勾玉を作る案まで考えていらっしゃったのですね!

モブ津神A「さすがオモイカネ様!」

モブ津神A&B「して、どのように??」

オモイカネ「えぇ~っと……タマノオヤノミコトに依頼して、後に八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)と呼ばれそうな逸品を作っていただく……とか……」

モブ津神A「これまた素晴らしいご提案です!」

モブ津神B「では、皆さん異議も無いようですし、この案で進めましょう!」

オモイカネ「えっ!?全員で順番に案を出すんじゃ……」

モブ津神A「これ以上の案なんて出るはずがありませんし、もう決定で良いではないですか」

オモイカネ「で、ですが……」

モブ津神B「もし不安があるようでしたら、占いでもしてみましょうか?」

オモイカネ「そ、そうですね……それでは太占を……」

モブ津神A「誰が???」

オモイカネ「……」

モブ津神B「どのように???」

オモイカネ「……」



オモイカネ「アメノコヤネノミコトと、フトダマノミコトを呼んでください……」


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――


<後日>

モブ津神A「さすがオモイカネ様!太占の結果も上々でしたし、きっとうまくいきますよ!」

オモイカネ「……それはどうも」

モブ津神B「オモイカネ様の指示どおり、天香山(あまのかぐやま)の牡鹿の肩の骨を同じく天香山の上溝桜で焼いたのが良かったのでしょうね!」

オモイカネ(なぜ私が太占の作法まで指示する羽目に……)

モブ津神A「ついでに天香山で真榊も取って来ていただきましたし、準備万端です!」

モブ津神B「早速儀式を始めましょう!」

オモイカネ「はぁ……」

 ・
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モブ津神A「真榊の上の枝にはタマノオヤ様にお作りいただいた勾玉を飾って……」

モブ津神B「中の枝にはアマツマラ様とイシコリドメ様にお作りいただいた鏡を取り付けて……」

モブ津神A「下の枝からは白い幣と青い幣を垂らして……っと」


モブ津神B「フトダマ様がとっておきの御幣をお持ちくださったお陰で、とても立派になりましたよ!」

フトダマ「いやいや、またアマテラス様の可愛らしいお姿を拝むためなら安いものですよ」

アメノコヤネ「祝詞は僭越ながら小生が務めさせていただきましょう」



アメノタヂカラオ「おう、こっちも配置についたぜ!いつでも始めてくれや!」ムキッ



アメノコヤネ「では……」

アメノコヤネ「~♪(祝詞」



モブ津神A「いやぁ~、仕事終わりの祝詞は最高だなぁ~」

モブ津神B「そうだなぁ~。“明日も頑張ろう!”って感じになるよなぁ~」

オモイカネ「あなたたち、言うほど仕事してないでしょ!!」



―シャラーン!!



モブ津神A「おっ、来た来た!」

モブ津神B「今日のメインイベント!!」



アメノウズメ「さぁさぁ、あんたたち!こっからはアタシの時間だよ!!」



モブ津神A「ヒュー!待ってました!!」

モブ津神B「ほらほら、オモイカネ様!ウズメ様が襷に使ってるの、天香山の日陰蔓(ひかげのかずら)なんですよ!」

オモイカネ「は、はぁ……そうですか」

モブ津神A「髪飾りは真析蔓(まさきのかずら)ですね」

モブ津神B「手に持っている笹の葉も、安定の天香山ブランド!」

オモイカネ「ちょっと天香山の環境破壊が心配になってきました……」



アメノウズメ「ほらほら、みんなもっと飲んで!」ダンダン!!



モブ津神A「伏せた桶を踏み鳴らすこのリズム!たまんねぇ~!!」



アメノウズメ「もっと笑って!!」バッ!!



モブ津神B「おぉっ!アマテラス様とは大違いの見事な乳房が露わに!!」



アメノウズメ「もっともっと……アタシを見てぇぇぇっ!!!」ズルッ!!



オモイカネ「はわわっ!!裳の紐がデリケートゾーンまでずり下がって……///」



モブ津神A&B「か、神懸ってるぅぅぅ~!!!」
オモイカネ「……//////」


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――


<天岩屋:内部>

アマテラス「はぁ~……」パタン…

アマテラス「ここに籠ってから、どのくらい時間が経ったのでしょう?」

アマテラス「持ち込んだ漫画もあらかた読んでしまいましたし、退屈ですねぇ~」ゴロゴロ


アマテラス「そろそろスサノオもわたくしが恋しくなってきた頃でしょうか……?」


―ドンチャンドンチャン♪
―ホラホラドウダーイ!!
―ワッハッハー


アマテラス「はて?何やら外が騒がしいですね。わたくしが隠れたことで、外は真っ暗闇のはず……」

アマテラス「もしかして、皆さん夜型のぱーりーぴーぽーだったのでしょうか?」


―ドンチャンドンチャン♪
―マダマダイクヨー!!
―イイゾモットヤレー


アマテラス「う~ん……なんだか気になってきました。少し外の様子を窺ってみましょう!」


―――――――
――――
――


<天岩屋:外>

アメノウズメ「ほらほら、あんたたち!まだ盛り上がりが足りないんじゃないかぁ~い!?」

モブ津神A「うぉぉぉぉぉぉ!!!」
モブ津神B「まだまだイケるぞぉぉぉぉぉぉ!!!」
オモイカネ「ハァ…ハァ……もう限界……」


―ズズズッ


オモイカネ(はっ、天岩屋の戸が少し動いた!)



アマテラスの声『もし、皆さん……』



アメノウズメ「なんだいお嬢、そんなとこに籠ってたのかい?あんたもこっち来て一緒に踊んなよ!」



アマテラスの声『あの……わたくしが隠れたことで、高天原も葦原の中つ国も暗闇に閉ざされたものと思っていたのですが……』

アマテラスの声『なぜウズメさんはそんなに楽しそうで、皆さんもそんなに笑っているのですか?』



オモイカネ(みなさん、あとは打合せどおりに!!)メクバセチラー

アメノウズメ「なぜって、あんたよりハンパない神様が現れたから、嬉しくて盛り上がってんのさ!」

モブ津神A「いやぁ~、まさかこんなにも貴い女神様がいらっしゃるとは!」

モブ津神B「アマテラス様よりナイスバディですしね!」



アマテラスの声『わ、わたくしよりハンパなく貴いナイスバディの女神ですって!?』ガーン!!



モブ津神A「いやぁ~、この魅力にはどんな男神もイチコロでしょうなぁ~」ニヤニヤ

モブ津神B「おそらくはスサノオ様もコロッと……」ニヤニヤ

アメノコヤネ&フトダマ(この隙に、後に八咫鏡と呼ばれそうな鏡を戸の隙間に……)スッ



アマテラスの声『……そ、そんなことあるはずありません!わたくしは信じませんよ!!』

アマテラスの声『絶対に!微塵も信じませんからね!!』チラッ


―ペカー!!


アマテラス(うっ、外が眩しい!?一体何が起こったというのです??)

アマテラス(光の中にうっすらと……それなりに目鼻立ちの整った女神がいるような……)


アマテラス(もっとよく見てみないとわかりませんね……)



―ズズズズズッ



オモイカネ「戸がまた動いた!今ですっ!!」

タヂカラオ「おぅ!俺の筋肉に任しとけ!!」ムキッ!!



アマテラス「こっそり……チラッと見るだけ……」ヒョコッ



タヂカラオ「もらったぁぁぁ!!」ガシッ!!

アマテラス「ふぇっ!?」



タヂカラオ「せーのぉ……ファイっトォォォォォ!!!!!」グイッ!!

アマテラス「い、いっぱぁぁぁつぇぁ!!??」ズコォォォッ!!



モブ津神A「おぉっ!タヂカラオ様がアマテラス様の腕を掴んで引きずり出したぞ!!」

モブ津神B「勢い余ってアマテラス様がずっこけたぞ!!」

タヂカラオ「うおっ!すまねぇ、お嬢!!」アセアセ

アマテラス「い……いひゃい……」バタンキュー



オモイカネ「今のうちです!フトダマさん!!」

フトダマ「あいわかった!」シメシメ…

モブ津神A「出た!フトダマ様の高速注連縄掛け!!」

モブ津神B「なんと、3.34秒!?自身が持つ高天原記録更新です!!」



アマテラス「うぅ……いきなり何をするのです……?」

フトダマ「アマテラス様!」

フトダマ「この注連縄はアルティメット最強バリアです!ここから先は立入禁止!!」

アマテラス「えぇっ!?ちょっと待ってください、中にはまだわたくしの蔵書が――」

タヂカラオ「つーか、そもそもこの戸を取っ払えばいいんじゃねぇか?」ポイー

アマテラス「あぁっ!そんなことをしたら中が!!」



一同「……」



アマテラス「……///」

フトダマ「いやはや、これは……」

オモイカネ「女子の部屋にしてはちょっと……」

アメノコヤネ「散らかりすぎじゃありませんかねぇ……」

アメノウズメ「あっはっはっ!こりゃアタシんちよりひでぇや!!」

タヂカラオ「まぁ、ワイルドでいいんじゃねぇか?がっはっはっ!」

モブ津神A「それにしても、置いてある漫画がまたディープ……」

モブ津神B「まさかBLにもご興味があったとは……」



アマテラス「み、見ないでください///」ペカー!!

モブ津神A「うわっ、眩しい!!」

モブ津神B「目が、目がぁぁぁ~!!」

アメノウズメ「おっ、いい光源じゃないか!まだまだ踊るよぉ~!!」


オモイカネ(何はともあれ、光が戻って良かったです)クスクス


―完―

【キャスト】
アマテラス
オモイカネ
フトダマ
アメノコヤネ
アメノウズメ
アメノタヂカラオ
モブ津神


作:若布彦(例え大が小を兼ねたとしても、巨は貧を兼ねないのですよ)

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