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[“姉弟誓約神話”の続き]
――なんとなくアマテラスとの誓約に勝ったっぽいスサノオのお話


<高天原>

スサノオ「あぁ~、なんか今さらだけどわざわざ高天原まで来たのがバカらしく思えてきたわ」

スサノオ「急に来て警戒されるのはわかんなくもねぇけどよぉ」

スサノオ「ガッツリ重武装で開口一番怒鳴られるわ、その後もいまいち話通じないわ……」

スサノオ「もう姉上のこと尊敬できなくなってきたわ……」


―ズルッ


スサノオ「うおっ!?」


―ドサッ!!


スサノオ「ってて……。滑って畔から落ちちまった……」

スサノオ「田んぼに水張ってる時季だったら泥だらけになるとこだったぜ……」


スサノオ「……ったく、イライラすんなぁ!」

スサノオ「そもそも畔なんてもんがあるから落ちんだよ!!」

スサノオ「おらっ!」グシャァ!!

スサノオ「へへっ、ぶっ潰してやったぜ。これでもう落ちる心配はねぇな!」


スサノオ「ついでにこっちもだ!!」ドシャァ!!

スサノオ「水路も埋めてやった!水が引けなくなりゃあ泥だらけになる心配もねぇ!」

スサノオ「歩行者の安全を守ってやったぜ!ざまぁみろ!」スタスタ


―――――――
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――


<高天原:大嘗之殿前>

スサノオ「ん?なんだこの建物、えらく立派だなぁ~」


―ガヤガヤ


スサノオ「おっ、誰かいるぞ?」コソコソ

 ・
 ・
 ・

大工「いやぁ~、なかなかの出来栄えっすね、親方!」

親方「なぁに言ってんだ銀二ぃ!おめぇはろくに仕事してねぇだろうが!!」

大工「いやいや、あっしも一所懸命丸太を……」

親方「丸太一本切るのに丸一日かかるヤツがあるか!もっとちゃきちゃき働きやがれ!!」

大工「へぇ~い……親方は厳しいなぁ~……」トホホ…

親方「まぁ、何はともあれ、大嘗祭に間に合って良かったな!」

大工「そうっすね!アマテラス様にもきっとお褒めいただけますよ」

親方「来年はもっと上等なのを造れるように、おめぇも腕磨いとけよ!」

大工「えぇっ!?来年もまた造るんすか!?」

親方「ったりめぇだろうが!早速来年に向けて特訓だ、行くぞ銀二ぃ!!」

大工「へぇ~い……」トホホ…

 ・
 ・
 ・

スサノオ「ほぉ~、大嘗祭で使う御殿か。ここで姉上が新穀を……」

スサノオ「……ちょっといたずらしてやるか」ニヤリ



スサノオ「あぁ~、この辺に厠はねぇかなぁ~?もう漏れちまいそうだぜぇ~」


―――――――
――――
――


<高天原:アマテラスの部屋>


モブ津神A「大変です、アマテラス様!」

モブ津神B「スサノオ様がそこかしこで暴れまわっています!」

アマテラス「なんですって!?」ガタッ!!

モブ津神A「と言うか、なぜスサノオ様がまだ高天原にいらっしゃるのですか!?」

モブ津神B「どうして追い払ってくださらなかったのです?アマテラス様!!」

アマテラス「そ、それは……スサノオがわたくしにぞっこんラブだって言うから……」モジモジ

モブ津神A&B「ちょっと何を仰っているのかよくわかりませんが……」

アマテラス「と、とにかく!まずは何が起きたのかを報告してください」


モブ津神A「では報告いたします。スサノオ様の悪行その1!」

モブ津神B「田の畔が壊されました!!」

アマテラス「なるほど、畔を……。ですが、それくらいなら――」

モブ津神A「スサノオ様の悪行その2!」

モブ津神B「田に水を引く水路も埋められました!!」

アマテラス「す、水路まで!?」

モブ津神A「さらにスサノオ様の悪行その3!」

アマテラス「まだあるのですか!?」

モブ津神B「大嘗祭で使う御殿がう○こまみれにされました!!」

アマテラス「うn……大きい方ですって!?」

モブ津神A「どうですか、この悪逆非道!」

モブ津神B「まさに歩く大災害!放っておけば高天原がめちゃくちゃにされてしまいます!」

アマテラス「で、ですが……スサノオが悪意を持ってそんなことをしたとは思えません」

モブ津神A「何を今さら……」

アマテラス「まず、スサノオがうn……大きい方なんてするはずがないではないですか!」

モブ津神A&B「……はぁ?」

アマテラス「アイドルのおしりからはマシュマロが出てくるのですよ!一般常識です!」

モブ津神A「そんなわけないでしょう!今どきそんなこと言ってるドルオタいませんよ!!」

モブ津神B「って言うか、そもそもスサノオ様はアイドルじゃありませんし」

アマテラス「と、とにかく!うn……大きい方というのは、きっと何かの間違いです!」

アマテラス「大方、酒に酔って吐き散らかしたとか、その程度の話に違いありません」

モブ津神A「なるほど~、う〇こじゃなくてゲ〇ですか~」

モブ津神B「じゃあセーフですね!」



モブ津神A&B「……ってなるわけないでしょ!!」

アマテラス「えぇっ!?」ガーン!!

モブ津神A「なにちょっとショック受けてるんですか!そんな理論でイケると思いました??」

モブ津神B「う〇こもゲ〇も大差ありませんよ!どっちにしろアウトです!!」

アマテラス「で、ですが!路上で吐くサラリーマンはいても、排便するサラリーマンはそうそう――」

モブ津神A「金曜の夜に見かける頻度の問題じゃありません!」

モブ津神B「仮にそこをセーフにしたとしても、畔を壊したり水路を埋めたりもしてるんですよ!?」

アマテラス「それは……きっと、土地がもったいないと思ってやったに違いありません!」


モブ津神A&B「……どういうことですか?」

アマテラス「で、ですから、畔や水路にしている土地も、耕せば新しく田が作れるだろうと……」アセアセ

モブ津神A「畔も水路も無くなったら田んぼとして機能しないでしょ」

アマテラス「スサノオにはそういう稲作の知識が無かったのです!あの子もまだまだ世間知らずですからね」アセアセ

モブ津神B「知識も無いのに手を出すなんて、迷惑もいいとこじゃないですか!」

アマテラス「と、とにかく!スサノオは少し失敗をしただけで、故意に悪事をはたらいたわけではないのですよ!」アセアセ

モブ津神A&B(なんというとんでも理論……)

アマテラス「いずれにせよ、死者が出たわけではないのでしょう?でしたら大した問題ではありません」

モブ津神A「それは……まぁ、そうですが……」

アマテラス「物は直せば済むのですから、ここはわたくしがどうにかしておきます」

モブ津神B「そんな傍観していて良いのですか!?今すぐスサノオ様を止めないと!」

アマテラス「わたくしが良いと言ったら良いのです!これ以上事を荒立ててはなりませんよ」

モブ津神A&B「はい……承知しました」


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――


<後日:忌服屋>

―ガラッ
―テレレレテレー♪ テレレレレー♪


アメノハタオリメ「はぁ~い!どちら様ですかぁ~?」パタパタ

アマテラス「ごきげんよう」

ハタオリメ「あっ、アマテラス様!お久しぶりです☆」

アマテラス「しばらくぶりですね。お元気でしたか?」

ハタオリメ「はい!本日はどういったご用件ですか??」

アマテラス「新しい神御衣(かむみそ)をお願いしたいのですが……」

ハタオリメ「お安い御用です!超特急で作りますよ~♪」


モブ津神A「アマテラス様!呑気に神御衣なんて仕立てている場合ですか!?」

モブ津神B「早く手を打たないと、スサノオ様の悪態はエスカレートするばかりですよ!?」

アマテラス「ですから、こうして手を打ちに来たのではないですか!黙って見ていてください」

モブ津神A&B(何か嫌な予感が……)


ハタオリメ「仕立てのご要望はありますか??」

アマテラス「そうですね……できるだけセクシーな感じにしていただけますか?///」モジモジ

モブ津神A&B(!?)

ハタオリメ「セクシー……と言いますと??」

アマテラス「例えば、実の弟も一目で虜にしてしまうような……悩殺系な感じに……///」モジモジ

モブ津神A&B(手の打ち方の方向性が間違ってる!)

ハタオリメ「ふむふむ……なるほどです!」

モブ津神A&B(そんなアホな要望、承らないでぇぇぇ~!!!)

ハタオリメ「じゃあ、ゆるふわ系でフェミニンな感じに仕立てておきますね♪」

アマテラス「ちょ、ちょっと待ってください!セクシー系という話では!?」

ハタオリメ「でもぉ~、アマテラス様には絶対ゆるふわ系の方が似合いますよぉ~☆」チラッ

アマテラス「そ、そうでしょうか……?」ペターン

モブ津神A&B(あっ、完全に胸見て言った)

ハタオリメ「ちょうど今の流行も断っ然ゆるふわ系ですし♪」

アマテラス「それ、この前も言っていませんでしたか……?」

ハタオリメ「言ってませんよぉ~☆」

アマテラス「……(ジト目」

ハタオリメ「やっぱりアマテラス様の魅力を引き出すにはゆるふわが一番!絶対そっちの方が可愛いですって!!」

アマテラス「い、いえ……ですが、セクシー……」

ハタオリメ「真のセクシーは可愛さの中にこそ宿るものですよ!可愛いは正義!Cute is Justiceです!!」

アマテラス「は、はぁ……」

ハタオリメ「ねっ、ねっ??ここはやっぱりゆるふわにしましょう☆」

アマテラス「わ、わかりました……。お任せします……」

モブ津神A&B(お、押し切ったぁぁぁ!!!)

ハタオリメ「やったぁ~♪じゃあ早速準備しますね☆」パタパタ



アマテラス「あの子、ゆるふわ系が作りたかっただけではないですか……?」

モブ津神A「いえ、そんなことはないと思いますよ」

モブ津神B「アマテラス様(のバストサイズ)に配慮した最良の選択だと思います」

アマテラス「そうでしょうか……?」



ハタオリメ「アマテラス様ぁ~、横糸はこっちとこっち、どっちがいいですか??」

アマテラス「えっ?あぁ~、ではこちらで――」



「「「おぅ、姉上!受け取りな!!」」」



アマテラス「はっ、この声は!?」ズキューン!!

モブ津神A&B(や、ヤバい!!)

アマテラス「スサノオ!!やはりわたくしに会いに来てくれ――」



――ズシャァァァッ!!



アマテラス「……え?」ポカーン…



「「「キャアァァァァァァッ!!!!」」」

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アマテラス「スサノオ……なんてことを……」

モブ津神A「天井から逆剥ぎにした馬を投げ落とすとは……なんと罪深い……」

モブ津神B「しかも、ついに死者が出てしまった……」

アマテラス「ハタオリメさん……」

モブ津神A「落ちてきた馬に驚いた拍子に、杼(ひ)で陰(ほと)を衝いて死んでしまうなんて……」

モブ津神B「ギャグ漫画なら”いや、そうはならんやろ”とツッコみたいところですが……」



アマテラス「……全てわたくしの責任ですね」

モブ津神A「アマテラス様……」

アマテラス「スサノオのわたくしへの愛が高ぶりすぎたせいでこんなことに……」

モブ津神B「えっ、そういう解釈!?」

アマテラス「あの時わたくしが大人しく衣を剥がされていれば、馬の皮を剥ごうだなんて思わなかったはず……」

モブ津神A「いや、別にスサノオ様も剥ぎフェチというわけではないと思いますが……」

アマテラス「わたくしがスサノオを満足させていれば、他の女神を襲おうだなんて思わなかったはず……」

モブ津神B「別にハタオリメが襲われたわけでもないのですが……」

アマテラス「はぁ……姉弟の愛というのは恐ろしいものですね……」

モブ津神A&B「どんな結論ですか!?」



アマテラス「こうなったら、わたくしはもう……」

モブ津神A&B「……(ゴクリ」

モブ津神A&B(ついにスサノオ様に天罰を下す決心をされたのですね……!!)



アマテラス「引き籠ります!」

モブ津神A&B「えっ!?そうなるの???」

―完―

【キャスト】
タケハヤスサノオ
アマテラス
アメノハタオリメ
大工
親方
モブ津神

作:若布彦(ハタオリメは固有名詞なのでしょうか……?)

・・・次のお話はこちら⇒“天岩戸神話

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